静岡鉄道では、「安全・安心・快適のあくなき追求」を経営理念に掲げ、運行の安全だけでなく、現場で働く従業員や駅を利用するすべての方にとって、より良い環境づくりを進めています。
その取り組みの一環として、線路作業時の安全性を高める列車接近検知アプリ「トレりん」と、公共トイレ等に生理用品を備えるサービス「OiTr(オイテル)」を導入しました。
作業員の安全を支える―列車接近検知アプリ「トレりん」

線路上での保守や点検作業では、列車との接触事故を防ぐため、作業中に「列車見張り員」が配置されます。従来は、見張り員が目視によって列車の接近を確認し、列車接近合図を送る方法が一般的でした。
しかし、見張り業務には高い集中力が求められ、命を預かるという心的負担がかかります。また、天候や騒音、作業環境によっては注意が一時的に逸れるリスクもあります。こうした状況に対応するため、静岡鉄道は株式会社リアルグローブと連携し、2021年より「列車接近検知アプリ トレりん」の開発に協力。2024年12月に正式リリースされました。


「トレりん」は、線路工事従事者が携行するスマートフォン・スマートウォッチに、列車の接近を振動で通知するシステムです。スマートフォンの位置情報をもとに、列車が一定の距離に達するとアプリがアラートを発信。バイブレーション機能を用いて情報を伝えることで、騒音の多い現場でも、確実に接近に気づけるよう設計されています。
既存のスマートデバイスをそのまま活用し、比較的低コストで導入できるのが「トレりん」の魅力の一つです。このアプリは、従来の見張り業務と併用することで、安全確認の二重化と見張り員の心的負担の軽減を実現します。現場に適した実用的な仕組みとして、他の鉄道事業者からも関心が寄せられており、視察や導入検討が進められています。
安心で快適な移動を支える―生理用品無料提供サービス「OiTr」

もう一つの取り組みは、2025年3月から新静岡駅、草薙駅、新清水駅の女性用個室トイレで導入された生理用品の無料提供サービス「OiTr(オイテル)」です。株式会社オイテルが提供するこのサービスは、持続可能な開発目標に貢献するとともに、生理の貧困への対策としても効果的なサービスです。このサービスを導入するのは、全国の私鉄で静岡鉄道が初めてとなります。

利用者は専用アプリを起動し、トイレ個室内に設置されたディスペンサーにスマートフォンをかざすことで生理用ナプキンを1枚受け取ることができます。
2時間ごとに1枚、25日間で最大7枚まで無料で受け取ることが可能で、予期せぬ体調変化に備えることができるほか、近くに購入手段がない場合でも安心して移動を継続できます。
ディスペンサーは既存の個室トイレ内に後付けで設置でき、機械本体がコンパクトで省スペースなため、駅の設備環境に大きな変更を加えることなく導入可能です。
この取り組みは、トイレットペーパーと同様に、生理用品が「必要なときに、必要な場所にある」ことの重要性を改めて示すものです。安心して駅を利用できる環境を整えるうえで、基本的な設備のひとつとしての役割を果たしています。
いつもの移動を、いつも通りに行えるように。
列車接近アプリ「トレりん」と、生理用品無料提供サービス「OiTr」は、静岡鉄道が掲げる「安全・安心・快適のあくなき追求」を具現化した取り組みです。どちらも、大規模なシステム改修や複雑な設備変更を必要とせず、既存の現場や施設に無理なく組み込める点が大きな特徴です。
いつもの移動が、いつも通りに行えるように。
静岡鉄道はこれからも、「安全・安心・快適のあくなき追求」を実行し続けます。